キャリアを考える2つの側面
内的キャリア
内的キャリアは「QWL(quality of working life」の概念と重なり、個人の内的側面、内的価値に
焦点をあてることである。一人ひとりの生きがいとして自覚され、自分にとって働くことといきることの
意味・意義・価値の実存的で多様な追及となります。
外的キャリア
外的キャリア(external career)は一般的に現実社会で認知される。
すなわち、組織内外の職業、職種、地位、資格、経験年数、処遇等の外的基準で表現され、内的キャリアと
対比されます。
仕事に関わる「成功」を外的キャリアで捉えるとすれば、、その答えは当人が最も良く理解しているはずです。
現在の位置づけも、また目指したいゴールも当人が十分に分かっていると考えられるからです。
しかし、「内的キャリア」は一人ひとり働くことの意味や意義、価値観も違うので、成功の答えは
自分と向き合う中で探し出せ、結論づられるものであって、第三者が導きだせるものではありません。
高まる内的キャリアの重要性
仕事をするうえでのポジションや収入といった外的キャリアは、なくてはならないものですが、一方どれほど外的キャリアが充実していたとしても、やりがいや生きがいを感じないといった内的キャリアが
不足している場合もあります。特に近年は内的キャリアが重要だと言われています。
その理由は、組織業績向上への影響力が大きいからです。内的キャリアが充実することで
従業員はもっと活躍したい、さらに成果を出したいと業務に積極的になり、高いパフォーマンスを発揮します。
したがって内的キャリアの充実度が高い企業は、従業員ひとり当たりの生産性も高いのです。
さらに働き甲斐が高いほど離職率が低く、従業員の定着率が高いことが分かっています、
労働人口の減少が顕著な昨今、事業継続のためには非常に重要なポイントです。
内的キャリアを見つける具体的な方法
キャリアアンカーを明確にする
「キャリアアンカー」のアンカーとは、船の錨(いかり)のことで、キャリアのよりどころとなるものです。
個人が自らのキャリアや働き方を選択する際に、どうしても譲れない価値観や欲求、コアコンピタンス(能力)
のことを指します。マサチューセッツ工科大学のエドガー・H・シャインによって提唱されたキャリア理論の概念です。
自分を船に、人生を航海に例えた場合、錨(キャリアアンカー)は、船が潮目で流されてしまうことを防ぐ
働きをします。
したがってキャリアアンカーは、生涯に渡り自分の働き方の軸となるものです。
キャリアアンカーは、下記の8つのカテゴリーに分類することが出来ます。
①経営管理コアコンピタンス
いわゆる出世欲が強い人です。
組織の中で責任ある役割を担うことを望む。これに当てはまる方は経営者タイプと言えるでしょう。
リーダーや管理職としてチームをまとめたり、組織の階段を出来るだけ高いところまで上り詰める
ことに充足感を覚えます。
②専門・職能別コアコンピタンス
自分の専門性や技術が高まることを強く望むタイプ。これに当てはまる方は、企画、営業、技術など特定の
分野で能力を発揮することに喜びや生きがいを見出します。
一方で、専門スキルや知識を発揮する機会が減るマネジメント職には、相対的に関心が低い傾向があります。
③保障・安定
安定的に1つの組織に属し最後まで勤め上げることを望む。これに当てはまる方は、雇用安定を重視するタイプと言えます。
安全で確実と感じられ、将来の出来事を予測することが出来、ゆったりとした気持ちで仕事をしたいと考えています。
④起業家的創造性
クリエイティブに新しいことを生み出すことを望む。起業家的な発想・行動を好む。
これに当てはまる方は、新しいものを創り出すこと。障害やリスクを恐れずに行動するタイプと言えます。
新しい製品や新サービスを開発したり、財務上の工夫で新しい組織を創ったりとなど、何か新しいことを生み出す
ことに楽しみや充足感を覚える人です。
⑤自律と独立
自分で独立することを望む。これに当てはまる方は、組織のルールややり方にとらわれずに
自分のやり方で働きたいタイプです。
自分が納得できるやり方で進めたいという気持ちが強いので、上司との距離が近く、すぐに
提案や相談、ディスカッションが出来る環境で力を発揮します。
⑥社会貢献・奉仕
才能や有能な分野よりも、価値観によって方向づけられています。これに当てはまる方は、暮らしやすい社会の実現
他者の救済、教育等に価値を見出し、成し遂げていくタイプです。
自分の能力を発揮できる仕事よりも、人の役にたつ仕事に惹かれます。根本的な想いは「社会貢献」です。
⑦生活様式
個人、家族、仕事のバランスを望む。これに当てはまる方は、個人的な欲求、家族の願望、自分の仕事とのバランスや
調整を考え、全体的な調和を実現したいタイプといえます。
⑧チャレンジ
不可能と思えるような障害を克服する。これに当てはまる方は、困難な問題の解決や人との競争にやりがいを感じ
新しさや変化、難しさを目標とするタイプと言えるでしょう。
上記を参考にして、具体的な経験(成功や失敗の例)を思い出しながら、自分自身の理解を深め
自身の内的キャリアの状況を見つけ出してください。