個々の質を高め、グループ力をさらに結集して、社会の生命線を目指す!
先日私どもライフグループの創業者で代表である山城社長が、取材を受けましたのでその時の記事を掲載します。
新たな成長のステップ
金沢駅から西南方向へ車で約15分、金沢西インターから5分の距離に目的地はあった。場所は、地元テレビ局やオフィスビルなどが点在する商業地の一角。当初、いくつもの企業が入居するインテリジェントビルを想像していたが、予想は見事に外れた。
透明なガラスに覆われたスマートな建築物。ガラス越しに、おしゃれなお店やショールームに似た空間が目に飛び込んでくる。広い敷地に社屋とテナントが入る別棟があり、社屋の2階はレンタルシェアオフィスになっている。名前は「LIFE GARDEN」。ライフホールディングスが2020年に新築移転した新社屋だ。
「私自身は、もともと自社ビルをもつのは消極的でした。企業の柔軟性を考えるといつでも拡大、縮小ができる方がいいと考えていたからです。でも物件と出会った時に、自社だけではスペースが広すぎるので、一般の人が立ち寄れるテナントやシェアオフィスがあると有効に使えるんじゃないかと。キャッシュフローが見込めますし、事業を拡大したい時には増床もできる。そう思って決断しました」
山城大助社長の決断を後押しするようにテナントは埋まり、シェアオフィスの利用も好調に推移している。新社屋が、グループのイメージアップと総勢230名の社員たちの士気高揚につながっている印象だ。新社屋を機に、新たな成長のステップを踏み出した。
小さな一歩から
異業種の独立した7つの企業体から構成されるライフグループは、2001年の創立以来、22年間にわたり拡大、成長を続けている。ここ数年、コロナ禍や物価高騰などで地域経済が少なからず打撃を受ける中、「いずれも企業単体で収益確保できる状態」(山城社長)をキープしており、それがグループ全体を底上げしている。
厳しい経済環境下にあって、それぞれの企業が収益を確保し続けるのは容易ではない。グループを率いる山城社長から、しかし幾多の競争を勝ち抜いてきた経営者という印象は受けない。投げかける質問に真摯に向き合い、時おり笑みを浮かべながら語る表情には余裕さえ窺える。しかし話の節々に、グループ企業を推しあげてきた才覚や決断力、判断力の一旦が見え隠れする。
ライフグループの始まりは、山城社長が脱サラして個人創業した保険代理業と、一台のトラックを買い取って始めた家電の搬送・設置だ。初めは小さくても、いつか社会の“生命線”になろう。社名のライフラインには、そんな思いが込められている。
創業時の年齢は26歳。「電気工事をしていた義兄からトラックを安く譲り受け、事務所の一角を借りて」小さな一歩を踏み出す。
大きな滝より、小さな水路
両親と兄、姉の「家族全員が商売する家系」に育った山城社長は、もともと起業家精神に溢れた人だった。生まれは、能登町小木というイカ漁が盛んな小さな港町だ。
「父親は獲れたイカを各地に運ぶ運送業、母親は地元で洋品店を経営していました。小さい頃から親の仕事を手伝い、働きに応じてお年玉とかお小遣いをもらっていました。高校時代には友達を誘って、父親の同業者に『荷物運びのアルバイトはないか』と売り込んだり、母親の店に来るお客さんと普通に会話をしたり、商売感覚みたいなものはそのころからあったような気がします」中でも母親の影響を強く受けたという山城社長は、その教えから多くを学ぶ。
「商売を継げとは一言も言われませんでしたが、いつの頃からか『商売と屏風は広げすぎると倒れる』とか、事業を水の流れにたとえて『水路はいくつもあった方がいい』と言うんです。滝は水がたくさん流れるけど、ひとたび枯渇したらそれで終わり。水路がいくつもあれば一つ、二つ枯渇しても他に流れているから簡単には倒れない。要は、一つの事業だけに偏らず、小さくても採算がとれる事業をいくつか持っていた方が安全だと言うことを教えてくれたんだと思います」
体を動かして汗をかく。働く喜びと人への感謝。ニーズを聞き分ける。起こした事業は3年でメドをつけ、軌道に乗ったら分社化する。ダメだと思ったら潔く撤退せよ。ある意味、商売や事業の鉄則とも言える教えを、山城社長は自らの事業で実践していった。
全国を視野に市場を拡大
家電の搬送、設置からスタートした事業は、やがて貨物運送事業や電気工事業、家電配送・設置や物流コンサルティングを担うライフアトラスへ。そして搬送・設置を行う人を増やすために力を借りた事業を、いつしか自社で手掛けるようになり、今ではイベントなどの請負業務を行うソレストへと発展させた。
さらに人材紹介、人材派遣、医療介護コンサルティングなどを手掛けるライフライン、レッカー事業やタイヤ販売、新車・中古車販売などのカーリングサポート、新築住宅の設計・工事や中古住宅のリフォームなどを行うハウスイズム、企業のリスクマネジメントやコンサルティングなどを提案するライフプランなど、いずれも関連業務から派生した事業を軌道に乗せ、次つぎと分社化していった。
山城社長の言葉を借りれば、7つの事業は、ライフグループの“水路”である。しかしその水脈は、どの分野においても生命線になれる可能性を秘めている。たとえばソレストは、イベントなどの請負業務では北信越でシェアNo.1を誇り、さらに福島、宮城といったエリアにも市場を広げつつある。同じく、レッカー事業を展開するカーリングサポートは、東京を中心に新たな需要を掘り起こし、首都圏進出を視野に入れた。
マンパワーの質を高める
「グループがうまくいっている理由の一つは、事業化を自力で完結できる能力をもった人材と出会い、トップに配置できたことです。なかでも営業部門と財務部門を支える二人の役員との出会いは、私にとってもライフグループにとっても大きな力になっています。彼らがいなかったら、おそらくここまで成長できたかどうかはわからなかったでしょう」
事業を軌道に乗せるための人材発掘、そして運営、発展させていく技術やノウハウの蓄積。それが、現在のライフグループを支えているといっても過言ではない。山城社長の次なる目標は何か?
「グループには、若さと可能性に溢れた人材が揃っています。だけどその力がまだ十分に発揮されていない。今後は、彼らのポテンシャルを引き出すための社員教育や研修に力を入れ、人材の質を高めていきたいと思っています」
社会の生命線となる人材を! ライフグループは、質の高いマンパワーの育成に向けて動き出している。
グループ代表/代表取締役 山城大助(やましろ・だいすけ) 49歳
大学卒業後、2年間のカーディーラーの営業を経て、2001年27歳でライフラインを創業、2002年にライフクリエイト、2006年に人材派遣業を開始、2007年にはライフラインから貨物輸送業のライフアトラスを分社化するなど、相次いで事業を軌道に乗せる。その後も関連の会社を起業または分社化し、現在グループ7社、社員数は230人。