キーワードは成長|技術をコアにした挑戦|空間の最適化に力を注ぐ|菱機工業
メンテナンスに強み
菱機工業は、最適な空間を構築する技術者集団だ。空調や給排水、衛生、防災など、さまざまな設備の設計・施工を担っている。その事業エリアは北陸だけにとどまらない。関東や信越、東北といった東日本を中心にきめ細かなネットワークを張り巡らせている。
菱機工業の大きな強みと言えるのが、充実したメンテナンス体制だ。「技術職の半数はメンテナンスに関わっています。アフターフォローを徹底し、お客様に長年にわたる〝安心〟を提供したいと考えています」と語るのは北川雅一朗社長。営業エリアには必ず支店・営業所を構えており、3時間以内に顧客のもとへと駆け付けられる体制を整えているという。
加えて、営業・事務職も含めた全社員の5割以上が快適な環境づくりのプロの証となる「1級管工事施工管理技士」を取得するなど、技術力の高さも特徴と言える。それは公共・文化施設や大学、商業施設、病院、ホテルなど、街のランドマークとなる数々の大型プロジェクトを手掛けてきた実績からも明らかだ。近年のトピックとしては、2021年の東京五輪でテニス競技が行われた「有明テニスの森」の改修や、バドミントン会場となった「武蔵の森総合スポーツプラザ」の新規工事を請け負っており、極めて高い国際基準にも応えている。
風通しのよさが魅力
安心を提供するメンテナンス力と高い技術力で成長を続ける菱機工業は2024年、会社設立から70周年を迎える。その歴史をひも解くと、昭和5(1930)年の創業時は、冷凍機応用設備・機器の製造・販売を手掛けていた。その後、ビルや商業施設といった建設需要が一気に高まった高度経済成長期に、各種設備の設計・施工会社へと転換を図っていった。このように、培ってきた技術を核とし、新分野への挑戦を繰り返す中で、業容を拡大していったのが、菱機工業の軌跡だ。
そして、果敢なチャレンジを促す背景にあるのが、役職や年齢に縛られない風通しのいい社風である。社長室もガラス張りになっており、北川社長は、「外出先から戻るとすぐに、『ちょっといいですか』と社長室の扉を開ける社員がたくさんいますよ」と笑う。そんな企業風土を象徴するイベントが、春に開催する「業務会議」だ。同会議には全国から係長級以上の社員が一堂に会し、オープンにした業績をもとに会社の未来を語り合う。参加する社員には20代もおり、役員とともに菱機工業が歩んでいく針路を探る中で、早くから経営意識を育んでいる。
CO2排出ゼロを推進
業務会議を機に始まった事業も少なくない。例えば、2013年には関連会社RYOKIENERGYを立ち上げ、太陽光発電所の開発をスタートさせた。16年に新潟県魚沼市に植物工場を設立したのもその一つ。大学との共同研究に取り組んでおり、ハーブ類などの栽培を進めている。
これらは持続可能な社会の構築につながる事業であり、同様に未来を見据えた取り組みとして、温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出を抑えるカーボンニュートラルの推進にも積極的だ。菱機工業は、2025年度までに設計・コンサルタント業務の50%以上をZEB対応とする目標を掲げている。ZEBとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」の略称で、使うエネルギーを減らすと同時に、エネルギーを創出し、ビル全体のエネルギー消費量を実質ゼロにすること。菱機工業は省エネ管理システムの導入などの実績も豊富で、創エネと組み合わせ、業界のトップランナーとして、カーボンニュートラルを牽引していくビジョンを描いている。
5年先、10年先を視野に、飛躍的な経済成長が見込まれる東南アジアの拠点としてベトナム・ホーチミンに駐在事務所も開設した。「ベトナムは平均年齢が若いこともあり、過去にとらわれず、新しい技術をどんどん取り入れています。その一つがバーチャルで建物を構築するBIMで、当社としてもベトナムで得たノウハウを盛り込みながら国内事業にも積極的に導入しています」と北川社長。設備工事を行う際、従来は設計図をもとに、配管設備などの詳細を落とし込んだ施工図をおこす必要があったが、前もって3次元でシミュレーションできるBIMを使えば、設計図=施工図として活用できる。
「設計段階で想定される課題をクリアするフロントローディングに力を入れ、金沢・東京・新潟の各拠点にはこの業務に携わる社員を置いています」。北川社長はこう話し、バックオフィスの充実で現場の負担軽減につなげている。
常にお客様視点で
これからも時代を先取りした挑戦を続けていく菱機工業では、人材に求めるキーワードも〝成長〟だ。「成長していくためにはモチベーションが不可欠で、その視線はお客様を向いていてほしいと思います」。北川社長はこう話し、自分のためではなく、人のために何ができるかを常に意識してほしいと指摘する。
もちろん、菱機工業には、その思いを胸に挑戦したい社員に応えていく土壌も整っている。かつては、宮城県での営業所開設を願い出た社員自らを責任者に抜擢。その社員の情熱を足掛かりに、今では東北エリアに確かな営業基盤が築かれており、営業所も仙台支店へと格上げされているそうだ。
「人はこうなりたいと思った以上の存在にはなれません。ぜひ明確な目標を描いてください。夢に向かって歩んでいきたいという方を私たちも待っています」と就職活動中の学生にエールを送る北川社長。意欲あふれる社員を成長エンジンに、菱機工業の挑戦はこれからも続いていく。
菱機工業株式会社の詳細はこちらからご覧ください