本物を知り、一流にこだわる|人づくりを通して、❝まいもん❞ブランド確立へ|エムアンドケイ
多彩なジャンルで全国展開
一瞬たりとも止まることなく、走り続けてきた。会社設立から24年、エムアンドケイの歩みを端的に示すならば、こう表現することができるだろう。金沢市で1999年に産声を上げた回転寿司店「金沢まいもん寿司」は、ノドグロやガスエビといった地物をふんだんに使い、職人技で仕上げた極上の一貫が並ぶ。回転寿司に定着していた低価格路線とは一線を画し、全国有数の寿司どころの味にうるさい地元客を納得させるおいしさで、瞬く間に超人気店へと駆け上がっていった。東京・大阪・名古屋を中心に県外へも積極的に進出し、いずれの店舗も評判の行列店に。金沢まいもん寿司チェーンは、高級回転寿司のパイオニアとして、客の心も胃袋もがっちりとつかんでいる。
手掛けるのは回転寿司だけではない。寿司割烹「魚匠庵」、とんかつ専門店「金沢かつぞう」など、多彩なジャンルの飲食店をプロデュースしている点も特色だ。イタリア料理の第一人者、落合務氏がオーナーシェフを務める「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ・カナザワ」を金沢の中心部に立ち上げ、2023年7月には関連会社が群馬県伊勢崎市にウナギ料理専門店「焼き一生」をオープンした。ジャンルは違っても、本物を追い求める姿勢は共通しており、味だけでなく、スタッフのサービスや店舗デザインなど、あらゆる面で一流を目指してひたすらに突き進んでいる。
さらに、見つめる先は海を越える。2020年には台北に海外1号店をオープンし、24年、25年にも1店舗ずつ台湾に開店する計画だ。「目指すは〝まいもん〟を世界に通じるブランドにすることです。エルメスやヴィトンのように、名前を聞くだけで誰もが価値をイメージできる店にしたいと考えています」。こう意気込むのは、創業以来、トップとして最前線で指揮をとってきた木下孝治社長だ。「おいしいもの」を意味する石川県の方言「まいもん」を、世界で通じる飲食業界の一大ブランドに磨き上げていく考えだ。
ワクワクする環境を
ブランド化に向けた取り組みの柱となるのが、〝ひと〟への投資である。多くの業界が人材不足に悩みを抱える中にあっても、木下社長の目は常に前向きだ。「ピンチはチャンス。会社の魅力を磨き上げることで、自ずと人は集まってきます」と言い切り、その一環として社員が輝くことのできるワクワクする環境づくりに力を注いでいる。
例えば、2023年には、豪華客船に寿司職人を派遣した。船旅をしながら世界から集まったクルーズ客に腕を振るったそうで、貴重な経験を経て帰国した職人の目はとても輝いていたという。インドネシアの首都ジャカルタで構想が進むジャパンタウン計画にも参加しており、ブランドの世界展開に向けて海外で活躍できる舞台も整えている。
このようにエムアンドケイには国内外で挑戦の場があり、「人材を人〝財〟に変える。職人には技術力も人間力も磨き、日本一を目指してほしい」と、木下社長は期待を込める。そんな同社の姿勢は結果にも表れており、2022年に開かれた「全日本回転寿司MVP選手権」(主催:日本回転寿司協会)では、金沢まいもん寿司で働く職人が見事、日本一の座を射止めている。
人との出会いが転機に
エムアンドケイには、ワクワクできる挑戦の場があふれている。それは会社創業のエピソードを振り返ってみても明らかだ。一級建築士の資格を持つ木下社長は、もともとは建築設計事務所のトップとして活躍していた。飲食業界に踏み込んだきっかけは〝人との出会い〟である。経営者として異業種交流に積極的だった木下社長。懇意にしていた県内の回転寿司用コンベヤーメーカーの社長から勧められたのが転機となった。
建築業から飲食業へ。全く経験のない業界への転身に、二の足を踏む人がほとんどだろう。しかし、興味深い挑戦を目の前に、木下社長がブレーキをかけることはなかった。むしろ、門外漢だったからこそ、従来のイメージに縛られず、回転寿司の高級グルメ系路線を開拓することができたのかもしれない。
その後も、木下社長はフットワーク軽く、人との交流をきっかけに企業を成長に導いていく。「ターニングポイントには、必ずと言っていいほど、尊敬できる師との出会いがありました」と語る木下社長。大谷翔平選手が実践したことでも知られる教育手法「原田メソッド」を編み出した原田隆史氏、武道家・書家であり、心身を開発する新体道を創設した青木宏之氏など、その道のトップを走る人たちと交流を深めてきた。そして、超一流の師から学んだ教えを社員教育へと還元してきたのである。
考え方はプラスで
「明るく前向きな人」。木下社長は、エムアンドケイが求める人材像に対する答えも明快である。その理由は、能力や情熱は1から100までの正数に当てはめ、その掛け算で高めることができるが、考え方にはプラスだけでなく、マイナスもあるからだ。「いくら能力や情熱があっても、マイナスの思考ならば答えは、必ずマイナスになってしまう」と木下社長は指摘する。
加えて、前向きな志を胸に、世のため、人のために目標を持ち行動してほしいとメッセージを送る。「口を開けて待っていても、棚からぼたもちは落ちてきません。壁にぶつかってもいい。行動し、棚を揺さぶることが大切です」。こう話す木下社長も当然、立ち止まるつもりは全くない。新たな一歩として、「新湯治場構想」を進めているところだ。「かつて全国から人が集まった湯治場のように、『健康寿命』をキーワードとしたプロジェクトで地域に活力を吹き込んでいきます」(木下社長)。建築業から飲食業、そして地域づくりへ――。業界を隔てる見えない壁に遮られることなく、エムアンドケイの挑戦者としての情熱はより大きく燃え上がっている。
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